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甲府 ほうとう 武田信玄

9月末にJR中央線で甲府に行きました。20年ぶりなので山梨の郷土料理を食したいなと考えていました。
ネットで探してみると「ほうとう」は甲斐地方の郷土料理で、最近は観光客目当ての代表料理に祭り上げられているらしい。山梨県というとB級グルメグランプリでは「鳥モツ丼」が受賞しにわかに脚光を浴びてきています。そんな中で「ほうとう」は名前は聞いたことがあるけど果たして実態はどんなものかという興味本位でした。
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甲府駅の南口を出ると、すぐ右側には彼の戦国武将で名高い武田信玄の銅像がいかめしく堂々と鎮座しています。この武田信玄(1521〜1573)も陣中食としてそのほうとうを重用したと聞きます。
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駅前の左方向にほうとうを食べさせてくれるお店「小作」はありました。偶然ですが鳥モツ丼で有名な「奥藤」とすぐ隣でした。
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お昼の最中だったのでお店はサラリーマンや観光客らしき人でいっぱいでした。それでもお店の方々はとても親切で空いてる大テーブルの一席に案内してくれました。一口にほうとうと言っても実はその種類は夏用、甘味用など色々あるらしく、トッピングや味付けによってはまた様々にバリエーションがあるようです。
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私は最もオーソドックス、オリジナルを味わいたかったので訪ねてみると、「かぼちゃほうとう」が代表格だそうです。待つこと5〜6分それが出てきました。一人前の鉄鍋に食べきれそうにないたっぷりの量で、この暑い中まるで鍋焼きうどんのように湯気が立っています。ラッキーにも冷たい麦茶がセルフサービスされているのは嬉しかったなあ。
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スープは味噌仕立てで出汁は煮干だそうです。これなら兵士も元気になりそうな感じです。麺は幅広厚できしめんをもう一回り大きくした感じです。しかし麺にコシはなくどちらかというと米団子にも似ています。この麺は小麦を手で練って包丁で切るそうです。塩を入れないので塩抜きに麺を茹でず、直接生麺から煮込むので、出汁にトロミが出ています。具材はというと、メインのかぼちゃとジャガイモ、サトイモはホクホクかつトロッとして実にうまい。かぼちゃの甘味がうんと引き立っています。ゴボウや人参に白菜、ネギやわらびなど野菜も山菜も盛り沢山です。椎茸とサヤエンドウがアクセントになっています。真の田舎料理というか健康料理という言葉が似合います。私が食したものには肉類入っていませんでしたが、豚や鳥肉も入るそうです。農水省主管の農山漁村の郷土料理百選にも選ばれたそうです。

「ほうとう」という名称は大変珍しいのですが、これには諸説あって中国のうどんに似た「ハクタク」が奈良時代に日本に入ったとか、ワンタンを中国ではホウトウと読むとかあるそうです。いずれにしても「ほうとう」はうどんでもきしめんでもけんちん汁でもすいとんでもなく、独立した郷土料理メニューです。

この料理の成り立ちですが、甲斐地方は寒冷な気候と溶岩大地、平地と水利が貧弱だったため稲作に不便でした。近世になって田畑での養蚕が盛んになると、裏作としての小麦栽培が普及したそうです。また大家族の食事には、大鍋でそのまま煮込んで野菜を放り込めるほうとうは便利だったようです。
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武田信玄が実際に陣中食として用いたかどうかは不明ですが、孫子の兵法にも長けたあれだけの知将ですから、その保存性、携帯性、経済性、栄養バランスを見逃さなかったのではなかろうかと思われます。久しぶりに訪れた甲府駅前には「甲斐の国」の伝統が凝縮されて観光客を楽しませていました。
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